ジキルハイド症候群




「何の用ですか」


車椅子の大和さんと目線を合わせるようにベンチに腰を下ろす。


「お前、なにしてるんだ?」

「え?」


いきなりの叱責が飛んでくる。しかし、身に覚えのないそれに俺は、首を傾ける事しか出来ない。


「とぼけんのか」

「否、大和さん、何を……?」


鋭くなっていく大和さんの目に、俺は、慌てて説明を求めた。


「何ってお前、気づいていないのか?」

「?」

「恵里ちゃんだよ」


大和さんは、ため息をつく。


「最近の恵里ちゃんは、日に日に元気がなくなってきている……。俺の前では笑顔を見せてくれるが………傷も増えている」

「それは……」


俺も、気づいては、いた。
膝枕をしてもらった時に袖から見えたから。