ツーツーと機械音のみが耳に残る。
「なんだってんだ」
プツッと電源ボタンを押して、俺はベッドから起き上がる。
五分ってここからあの広場までバイクでも十分はかかる。
「横暴だな……」
恵里には、本当の兄のように優しく接していると聞いた。
迎えに行くときに見る大和さんは、確かに慈愛に満ちた優しい表情をしている。
俺にも恵里位に優しく接してもらいたいものだ。
「ま、無理か……」
立場的に。
俺は、ため息を一つつくと、厚着をしてバイクのキーを掴んだ。
「遅い」
家を出て十分弱。
これでも飛ばしてきた。
「勘弁してください」
「うるせぇよ」
ギロリと睨んでくる大和さんは、とてもじゃないが恵里と会話を楽しむあの大和さんではない。


