ジキルハイド症候群




「ねー、そのバッチどうするの?」


薄れていく意識の中、耳が声を拾う。


「あー、これ?」

「名前が彫ってあったら意味なくない?」


(やばい……もう、保てな……)


どさっとあたしの体は地面に叩きつけられる。


最後の最後、あたしの耳は確かに声を捉えた。


「別に関係ないよー……だって同じ顔だし」


誰も分かんないって、あいつ言ってたからぁ。
それよりさ、どこ遊び行く?


楽しそうな声が遠ざかっていった。


(同じ、顔……?)


あたしは、唇を噛み締める。


同じ顔、あたしと同じ顔なのは、茉里。
これは、茉里のせいだと言うの?


『『―――気を付けてね』』


脳裏に蘇るのは二つの声。


(茉里……!!)


地面を掻きむしる。
茉里、茉里………こんなことするほどに………!!


暗くなっていく視界の中、あたしは高笑いをしている茉里の姿を見たような気がした。