ジキルハイド症候群




「あ、痛い?ごめんね?」


悪いと思っていない謝罪に流石のあたしも苛立ちが頂点に達しようとしていた。


両手を二人に押さえられ、身動きがとれない。
田中さんを睨めば、睨まないでよと言われる。


「なら、どきなさいよ」

「むーり」


田中さんは、あたしの眼前まで近づくとあたしの頬に触れる。
冷たい指先にピクリと震えた。


「大人しく頷いていればよかったのに」


その指はだんだんと下がってくる。


「誰が。……そもそも、人に言われて別れる程軽くないの」

「ふーん」


首筋をなぞって制服に移る。
指は、あたしの制服の襟にたどり着くと、襟につけてあるクラスバッチを指先で遊ばせる。


彼女の行動に意味があるのか、ないのか。
あたしは、注意しながら彼女の行動を推測することを試みる。