ジキルハイド症候群




「………なんで恵里を連れてきた?」

「は?」

「俺は、あの女を連れてこいと言った。」


話の流れからして、あたしは呼ばれてなかったみたいだ。
海江田という名前であたしではなければ、呼んだのは茉里の方だということ。


(こいつらも、茉里目当て、ね)


心の中で自嘲する。


「俺、海江田しか聞かなかった」

「お前の頭は名前すら覚えられねえのか」

「知るか」


言い合いを繰り広げている蒼真とマリモ。傍らで傍観している茶髪。


あたしは、ここにいる必要はないよね?


あたしは、回れ後ろをして教室から出ようと足を踏み出そうとしたが、低い声が飛んできて、無意識にその場に縫い付けられる。


「どこに行く」

「………あたしに用はないんでしょう?茉里に用なら呼んでくるわ」