「―――話を、聞いてくれる?」
蒼真は、一瞬目を見開くと、しっかり頷いてくれた。
「行くぞ」
蒼真は、あたしの手を掴むと倒れているバイクの所に行く。
一度手を離し、重そうなバイクを起こした。
「………これ、蒼真の?」
「あぁ」
「傷ついてない?」
「気にするな」
蒼真は、ヘルメットをあたしに渡すと両脇に手を差し入れてバイクに乗せてくれた。
ヘルメットなんて初めてだったから変な感じだ。
「確り掴まれ」
蒼真に確りしがみつきながら、蒼真の背中大きいな、とぼんやり思う。
(………温かい…)
服越しに伝わる温もりに、あたしは頬を擦り寄せた。
ゆっくりとバイクが走りだし次第に速度を増す。
頬に当たる風を受けながら、あたしは確かに近くにある温もりに目を閉じた。