ジキルハイド症候群




(―――凄い着信……)


確認すると蒼真からの着信で埋め尽くされていた。
伝言も入っているみたい。
でも、今は、それすら確認したくなくて、鞄の中にしまい直した。


「………はぁ、」


ため息は増える一方だ。


茉里の言葉が頭から離れてくれない。
胸がズキズキと痛む。


膝を抱えたまま空を見上げると、あたしの気分とは正反対に綺麗な青空が広がっている。
時々、白い雲が気持ち良さそうに泳いでいた。


何も考えないで、無の状態になりたい。


ぼんやりと空を見上げていると、遠慮がちな声を耳が捉えた。


「―――どうかしましたか?」


ゆっくりと視線を下げると、車椅子に乗ったあたしより幾つか年上の男の人が穏やかな笑みを浮かべながらあたしを見ていた。