ジキルハイド症候群




それをグッと堪えて、首を振ってから鞄を取りにいくと告げる。


「あぁ、待ってる」


ふっと笑みを浮かべた蒼真に、あたしの心臓は鼓動を早めた。


すぐにリビングに戻り、鞄を取っ掴む。


忘れ物ないかチェックしてから玄関に逆走しようと足に力を入れる。


「………茉里」


しかし、リビングに茉里が返ってきていて、足は自然と動きを緩めた。


「………早く、行けば?」


低い、声。
あたしは、グッと握り拳をすると、茉里の横を過ぎる。


「………ねぇ、お姉ちゃん」

「っ」


甘ったるい、気持ち悪い猫なで声。


「あたし、陵南さん欲しいな」

「!」


バッと振り替えると意地の悪い笑みを浮かべた茉里。
勝ち誇ったような、顔。