ジキルハイド症候群




「…………っ」


悔しくて唇を噛み締める。
あたしの方が上なのに、言い返せないなんて。


(……弱虫)


こんな自分、嫌い。
あたしは、不甲斐ない自分を諌めるように冷たい流水で顔を洗った。


顔を洗い、手早く髪を解かす。
いつもよりも早く準備を済ませて氷で目を冷やす。


茉里の視線は、一切無視した。
茉里も別段話すこともないから黙っている。
リビングでは、朝のニュース番組のアナウンサーの声だけが流れている。


――――ピンポーン。


予想にしてなかった来訪者にあたしは肩を震わせた。


「こんな朝っぱらから誰よ……」


ブツブツと文句をいいながら、玄関に近い場所にいた茉里が玄関に向かう。


あたしは、テレビに表示されている時計をぼんやりと見つめていた。