「あいつは、俺より遅かったのに……」
不満たらたらな蒼真にあたしは、何も言えなかった。
亜理砂は、確かにあたしの中に席を置いた。あたしの席も亜理砂の中にあると自負しているつもりだ。
それよりも、もっと前から、確かに一つ別の席もあった。
「………あたしは、怖いの」
あたしの体に巻き付いている腕を見下ろす。
温かい腕。
いつかは、離れていくんじゃないかって思うと踏み留まってしまう。
「何が怖い?」
「………」
それを言葉にするのも怖い。
言葉は言霊だ。現実になって欲しくはない。
だから、言葉にしないであたしは自分の体重を全て蒼真にかけた。
「………何も怖がる必要はない」
俺は、お前の隣にいるから。


