ジキルハイド症候群




名前を言い当てられ、目を見開く。
目の前の茶髪とは初対面な、はず。


「そう……ですけど、」

「どうしたの?」


ニコニコと人懐っこい笑み。
あたしは、チラッと数学準備室を見た。


「……マリモに、連れてこられた」

「マリモ?」

「緑の――「おい、なんで入ってこない」


あたしの言葉を遮って背後から声が飛んでくる。
肩越しに振り返ると、マリモが立っていた。


「あれ、廉?」

「那祁?」


茶髪が首を傾ける。
二人はどうやら知り合いみたいだ。


「……恵里ちゃん、まさかマリモって廉の事?」


茶髪に問いかけられ、あたしは素直に頷くと、茶髪は吹き出した。


「ぷっあはははっ。廉っマリモだってよ!」

「あ?」