ジキルハイド症候群




「じゃあまたね」

「え゛」


思わず手を伸ばすがその手は取られることなく、変わりにバタンと屋上のドアが閉まる音だけが響く。


やり場をなくした手をゆっくりと下ろした。


―――キーンコーンカーンコーン…


授業開始を告げる本鈴が鳴り響く。
静かな屋上に二人きり。


「………授業いいの?」

「別に良い」

「そう」


沈黙が流れる。
沈黙は別に嫌いじゃないからいいけれど、何もないのにあたしは授業に出れなかったのだろうか。
そう思っていると、蒼真が口を開いた。


「………あいつは、認めたんだな」


拗ねたような不機嫌そうな声だ。


「あいつ?」

「……亜理砂」


名前を口にするのも嫌なのか眉間一杯に皺を寄せている。