ジキルハイド症候群




「―――よし、行こうかな」


とんとんと太ももの上で本を揃えた那祁は、よっと立ち上がる。
それに倣って廉も立ち上がる。


「亜理砂ちゃん達も、授業始まるよー」

「あ、はい」


慌てて弁当を片付け立ち上がる亜理砂に、あたしも準備しようと体を動かすが、ビクともしない。


「……蒼真?」


恐る恐る蒼真を見上げるが、まるで聞こえてませんと言うかのように遠くを見ていた。


「授業あるんだけど」


腕を退けようとすれば力がさらに加わる。


「蒼真」


非難の声を上げるが無視。
分からない蒼真の行動に頭を抱えていると、クスクスと那祁の笑い声が聞こえてくる。


「全く、困った奴だねー」

「………那祁」


助けを求めるが、那祁はあたしに手を振った。