那祁は既に貰って食べている。
(………あ、)
あたしは、小さく笑みを浮かべると、弁当に向き直って手を合わせた。
(……頑張れ)
「いただきます」
行儀良く挨拶をして卵焼きを口に運ぶ。甘い卵焼きが好きなのが分かっているからお母さんが作ってくれる卵焼きは本当に甘くて美味しい。
「………お母さんの手作りか?」
「そうよ。」
「恵里のお母さんは優しそうな人だったもんな」
一度だけお母さんに会ったことがある蒼真は、優しそうな目で言う。
「優しいわ。」
「………あんな人が母親なのに、恵里しか似なかったのな」
箸が、止まった。
蒼真を見上げると、軽くため息をついてる姿。
「………」
ジッと蒼真を見つめるとあたしの視線に気付いた蒼真は目を細めた。


