ジキルハイド症候群




「―――海江田さん!」


名前を呼ばれて肩越しに振り替えると、意味ありげな笑みを向けられていた。


彼女は、口を開けると声を音にせず言葉を発した。


『気・を・つ・け・て・ね』


そして、怪しげな笑みを深めると、手を振ってきた。


(何を気を付けるのよ……?)


良く分からないまま、教室を出ると弁当箱を持って亜理砂が待っていた。
亜理砂は、あたしに気付くとニッコリと笑った。


「恵里ちゃん」

「待たせた?」

「全然」


亜理砂は、あたしの腕に自分の腕を絡めると、行こう、と歩き出す。


屋上に向かって歩き出しながら、あたしは先程の彼女の台詞が頭から離れなかった。