ジキルハイド症候群




中の様子は入口からは棚が邪魔をしていて窺えない。
今のうちにずらかってしまおう。


そう思って、体の重心をずらそうとしたあたしの肩に、何かが触れた。


「キミ、ここに何か用?」

「っ!」


足音もしなかったし、気配すらなかった。あたしは、なるべく平静を装いながらも心臓は破裂してしまいそうな位高鳴っている。


肩越しに振り返ると満面の笑みをあたしに向けている男。
茶髪のストレートな髪に整った容貌。
制服は着崩して、この学校の制服?と疑問に感じてしまうもの。


「ここ、空きで誰もいない………あれ?」

「!?」


突然、ずいっと顔を覗かせる茶髪に、あたしは身を引いた。
じろじろと顔を見られ、逃げたくなる。


「もしかして、キミ海江田恵里ちゃん?」