何も言えない。喉は熱くて、頭も熱いのに、口は動かない。動けない。
アカリは瞳をくるりと回すと、黙ったままの俺から、その瞳を逸らす。
女の子たちに混じっていく、アカリ。
綺麗に着飾ったどの浴衣の女の子よりも、アカリが綺麗だ。
″好きなくせに″
好きだ。
どこが好きかってそんなもん、一から十まで並べても全然足りない、
好きだ、すごく。
「~アカリっ!!」
アカリの髪はひとつに結わえられていた。高い位置で、揺れる髪先は、ほんのりとしたピンク色だった。
掴みたいと思った。
乱暴に掴んで自分のものにしたい気持ちと、優しく触れて大切にしまい込みたい気持ちが混ぜこぜになる。
でもそのどちらも、アカリが欲しいという気持ちに変わりはなくて。
とっさに腕が伸びていた。
アカリの腕に触れた。掴んだ。その感触は、とてもとても柔らかい。
「好きです」
とても自然に、その言葉が出た。その場にいた全員の目が、こちらを向いた。
きゃあ、と高い声がいくつか上がる。
気にしていた。人の目とか、カッコ悪いとか、恥ずかしいとか、そういう自分の名誉みたいなもの。
でも気づいた。それよりもずっと、アカリの方が大切だった。
「俺と、つきあって」
俺は、
「アカリが、好きだ」



