夢中遊泳、その先に君


「やっべ、大収穫!!」


全員の分合わせると、山ほどとれてしまったスーパーボール。

取るのは必死なのに、実際もらってみると、そんなに要らないっていう。たった数分で、付加価値の変動が激しすぎる。

袋につめられた飴玉のような。みんなの手にぶら下がる、色とりどりの球体。

かく言う俺は、結局たった一つしか取れなくて。


「真鍋かわいそー。俺のやろうか」
「いらねーし」
「遠慮すんなし」
「してねーし」


どうでもいい会話に、なぜかおかしくなって友人と俺、二人とも吹き出す。

祭りの夜。普段とは違う雰囲気、それだけで笑いの沸点が下がってしまう。


ぽん、ぽんと。別に意味もなく、手のひらの上で弾ませるスーパーボール。

宙に浮いたまるい緑が、柔らかく手の中に落ちる。


柔らかく。柔らかい。


熱された空気に湯だった頭の中、ふいに笑った顔が浮かんで。

…本当は、集合場所で女子がいるのを見たとき、俺は期待してしまった。

視線で捜してしまった。

いるわけがないのに。あるはずがないのに。

─ヒロイチ。

俺の目を見て、柔らかく崩れる瞳を。


「~っ!?」


いきなり肩を勢いよく掴まれ、無理やり止められた体。

その反動で、スーパーボールが手のひらから転がり落ちる。