翌日の朝、電話が目覚まし代わりに鳴った。 壁掛け時計を見て唖然。 完全に遅刻。 寝ていた長椅子から手の届く距離に膝丈のテーブルがあるのだが、そこから目覚まし時計が転げ落ちていた。 二度寝してしまったらしい。 おれが目を覚ましたというのに電話は鳴り止まない。 「はい、田中です」 渋々受話器を耳に当てる。 『同じクラスの菅原といいますが、正樹君はご在宅でしょうか?』 丁寧な言葉遣いで尋ねてきた菅原という名前と声には覚えがある。