会話が弾まなかったし、ここは……。 「最後までお姫様をお城までお届けするのが、わたくしの役目です」 おれは左右の靴の踵をピタッと付け、背筋を伸ばし深々と頭を下げた。 ゼロはクスッと笑い声をこぼす。 作戦は成功だ。と、思ったのも束の間、道を右に曲がる寸前、ゼロは沈みがちな顔でおれの袖を掴んで立ち止まらせた。 「どうした?」 「実は……」 ゼロは接着剤で唇を塞がれているんじゃないかと思うくらい、重そうに口を開く。