網目のような住宅街を結構歩いた。 路線バスに乗れば4つくらいバス停を跨ぐ距離で、ゼロがようやく自分の家がある方向を指さした。 「あそこを右に曲がったらすぐ家があるの」 それまでゼロの口数は少なかった。 歩きながら自宅までおれを案内すべきか、迷っているような顔をしていた。 「私の家……見たい?」 言葉に間を開けて訊いてくる。 おれにはゼロの心理がまるで読めなかった。