「なにか問題でもあるのか?」

 先生は怪訝な顔で尋ねた。


「田中君はどの班なんですか?」

 指摘はうれしかったが、自分がなにもできない情けない男だということをさらけ出しているみたいで、正直恥ずかしかった。


「あっ、そうだ……田中は……」

 担任の先生は戸惑い気味。


「私の班は駅前を通って行くので、田中君を入れてもいいですか?」

 ゼロの言い方は断定的で、先生からの答えを待つ必要などなかった。


 ゾロゾロと集団下校が始まった。