なぜならおれは、喉元に果物ナイフの刃を当てられ、さらに鋭利に尖った凶器を左胸に突きつけられて体の自由を奪われているのだから。 キスによって精神力も奪われた。 ドン!!と彼女の膝頭が鳩尾に入り、果物ナイフの柄でこめかみ辺りを殴られた。 おれは膝を折って倒れ、グワン、グワンと響く耳鳴りに耐えるため、両手で頭を押さえる。 「ふ、普通……そ、そこまでするか?」 「ちゃんと会話できるじゃない」 彼女の言葉が惨酷に脳内に響く。