「空気が読めないバスだな」 「あれに乗るの?」 「そうだよ」 「もう少し話ができると思ったのにね」 ゼロは残念そうにうつむく。 仕切られているドアの横にはベンチと自動販売機もあって、ソフトドリンクを飲みながらデート気分が味わえたのに……。 「ゼロさんもバス通学?」 「“さん”は付けなくていいよ。ゼロって呼び捨てにして」 ゼロは質問に答えてくれなかった。おれを警戒しているのだろうか? はぐらかされた気がする。