ゴスロリ彼女のキスの味



「私のお父さんは頑固で厳しい人。“ごはんだぞ”と声をかけに私の部屋に入ってきたとき、私はアニバーサリー・プロジェクトの曲をヘッドホンで聴きながらゴスロリの服を着て踊っているところを見られた。“なんだその格好は?”と、まるで化け物でも見るみたいに驚いていた。私がゴスロリの衣装で人前に出ないと約束しても許してくれなくて、あとからゴスロリに関係するものは全てゴミに出された。駅前のコインロッカーに隠していた服もこれが最後の一着」

 ゼロは所々破けて皺くちゃになった黒いスカートを指で摘む。


「だからって、自分の娘を殺人犯に仕立ててしまうかもしれないのに……」


「私がはっきりゴスロリと縁を切るまで、追い込むのがお父さんのやり方。思い込んだら家族なんて簡単に犠牲にする人なのよ」

 ゼロは悲しげな視線をおれに送る。