おれは心地良い浮遊感に包まれていた。 良い匂いもするし、温かい。 完全に体が宙を浮いている。 地獄ではなく、天国に行けるなんて、神様はなんて寛大なんだろうと思う。 やっぱりおれは、倉吉の父親を殺していないということなのだろうか? 神様に感謝する言葉を考えていると、足の指に負荷がかかっている感触が伝わってきた。 足の裏ではなく、甲が擦られている感覚。 どうやらおれは誰かの背中に負ぶさり、足が床に付いている状態で運ばれているようだ。