両手でゼロの右手を押さえ、鉄格子の間に通す。
ゼロはされるがままで、拒んでいるわけでも率先して動いているわけでもなく、支店長室のフィギュアと変わらない。
キスをされ、心がどこかへ飛ばされてしまったのだろうか?
「いい加減にしてよ……」
倉吉はゼロの腕をパンパン叩いてマッチ棒を落とそうとするが、微動だにしない。
そうしてるうちにまた火が消えた。
「ほんと、世話が焼けるわ」
倉吉はゼロの体を後ろに押して腕を鉄格子の外に出し、頭薬が黒くなったマッチ棒を奪って捨てる。
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