「蜜姫さんのファーストキス奪っちゃった」
長いキスを終えた倉吉はゼロとのキスも復讐の一部なのか、すっきりとした笑顔。
おれは嫉妬心を表に出さないようにおやじのような咳払いをしてごまかす。
ゼロは顔をほんのり赤くして恥ずかしそうにしてから、指で唇をなぞり、感触を思い出しているのか、拭い去っているのか、よくわからない複雑な表情を浮かべる。
「そろそろ終りにしましょうか」
倉吉がゼロの背中越しに耳打ちするが、声はわざと聞こえるように大きい。
その声が何かの呪文みたいにゼロはマッチ棒をマッチ箱の側薬で擦って点火。



