「そ、そうなんだ」
乙女心ってやつなのかもしれないし、ゼロという名前をつけられた彼女が気の毒としか思えない。
「変な名前でしょ?」
零は眼球を横に転がす流し目で、一重瞼の威力を最大限に生かし、おれの表情を盗み取ろうとする。
“そんなことないよ”と言えば嘘が見抜かれそうな目だ。
「これからはレイと呼べばいいのかな?」
質問の答えに肯定も否定もせず、訊き返すことで逃げた。
「そうねぇ~田中君には本当の名前のゼロって呼んでほしいな」
ゼロはクルッと回転して、グレーのブリーツスカートのヒダを一方向に流し、白い太腿を露にする。



