「どんな嘘だ?」
「私、倉吉さんや田中君と同じ北郷小学校に通ってた」
「えっ?!」
隠しておくほどたいした嘘でもない気もするが、倉吉を“さん”付けにして扱いを変えたということは、おれの立場が危ういということなのだろうか?
「私、放課後の理科室……の準備室の前を通ったとき、変な声を聞いたの。荒い息遣いで男の人が苦しんでいるような声に聞こえた。ちょっと怖かったけど、理科室から忍び込んで準備室を覗いたの。そうしたら田中君が三船先生にイタズラされていたのを見てしまって……荒い息遣いは三船先生が興奮している声だった……」
ゼロの目から一粒の涙が落ちる。



