「憎しみは新たな争いしか生み出さないぞ」
「随分遠回しな言い方ね。助けてほしいなら素直に言えば?」
「どうせ無駄なんだろ?」
「土下座しても許さない。それにもう田中君のことは少しも好きじゃなくなったの。うぬぼれないでね」
「う、うぬぼれ?」
果物ナイフで殺されそうになったり、閉じ込められたりすることよりも、おれが倉吉に惚れていると思われることのほうがなんだか虫唾が走る。
「私、新しいパートナーを見つけたから田中君はお払い箱なの」
倉吉は見ていて吐きそうになるくらいの笑顔をおれに見せた。
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