ゴスロリ彼女のキスの味



「助けて!」と私は叫んだ。田中君が後ろからお父さんに体当たりして私を救ってくれた。家に帰って手紙を破ろうとしたけど、なかった。お父さんが読んだから屋上まで来たのかな。なにも知らないお母さんが買い物から帰ってきた。最近はため息をつく回数が多くなったと思う。きっとお父さんのことで悩んでいるんだね。でも、もう心配しなくていいよ。お父さんはいなくなったんだから。それから田中君は雨で濡れたせいか高熱を出してインフルエンザ脳症という病気で入院しちゃった』


 手が震え、絵日記の紙がカサカサ揺れた。


 おれが倉吉のお父さんを……先生を……殺した?!


「こ、こ、こんなのデタラメだ」

 おれは倉吉が書いた絵日記を両手で引き裂き、踏み付ける。