ハンドル付き扉の向こう側にある鉄格子の扉を倉吉が閉めたのだ。 「もう、そこから出られないわよ」 凹凸の少ない古めかしい鍵を持ち、ゼロに日傘で刺されたことなど忘れているかのような笑顔。私は魚だから痛点がないのよ、という余裕におれには見えた。 「絵日記、見たぜ」 まんまと閉じ込められた悔しさを表情に出さないため、倉吉の過去の話しに移す。 「あら、そう」 「おまえの父親が三船先生じゃないか!」