この絵日記を書いている頃は正常だったんだな……。 そんなことを思いながら四角い穴を覗き込む。 おれは金庫室の天井から頭を出していた。 なんのためにこんな通路を……。 支店長が夜な夜な金庫室にやって来て札束のプールで泳ぐ姿が目に浮かぶ。 倉吉はいない。 絵日記に気を取られていたから、追うという行為に集中できていなかった。 おれはアホの見本のような男だな。