隣の絵日記の日付は8月3日で、それを見たおれは呼吸することを忘れた。 絵を見ると男の人が手錠をしている姿が描かれていた。 記憶を掘り起こそうとするとぼやけていた顔が蘇る。 痩せて……線が細いおぼっちゃま気質……眼球に狂気染みた力強さがみなぎっていた……元担任。 下の文章を書くところには『お父さんが死んじゃった』と一言だけ筆圧の弱い字で書かれていた。 そして絵日記の横には切り抜きの新聞記事が貼ってあり、赤いマジックで大きな×印と『こんなのはデタラメ!』という文字で塗り潰している。