「うっ……」 倉吉は呻きながら、二歩三歩と後退。 ゼロの右手からスルリと日傘のハンドルが抜けた。 「早く、日傘を奪って」 ゼロに言われ、はっと我に返る。 おれが日傘を引っ張ると、倉吉の体からピュッと血が吹き出た。 致命傷とはいえないが、鋭利に尖った金属の先端部分が10センチ程刺さったのだから、すぐに反撃はできないはず。 倉吉は片膝を折り、一呼吸堪えると、移動を開始。