おれはゼロを守るために覆いかぶさり、無防備な背中を倉吉に向ける。
「あなたたち……そうやって最期まで私にアツアツぶりを見せつけたいの?」
倉吉の言葉は嫉妬が見え隠れして、死を宣告する前の悪魔からの質問に聞こえた。
「さっさと殺(や)れよ!」
強気の言葉とは対照的におれは猫のように体を丸め、ゼロをギュッと抱きしめた。
ゴスロリの衣装に染み付いている甘い香水の匂いが、この世での最期のプレゼントのような気がした。
「キョェ~」という狂気しながら刺そうとする倉吉の奇声が耳をつんざく。
どこかで聞いたような叫び声だ。



