ゼロは刺された右肩を手で押さえながら倒れた。見る見る手が赤く染まっていく。 「しくじったわ」 人を刺した直後とは思えない感想を倉吉は口にする。 ゼロが盾になってくれなければおれの方が刺されていた。 「ゼロ!」 おれはゼロの体を抱きかかえた。 意識はしっかりしているが、激痛に耐え、顔を歪めている。 「よかったじゃない。その痛みは生きているという証よ」 倉吉は自分の仕出かした犯罪行為を手柄にするかのように言った。