こんな状況でも僅かに生じてしまった人としての倉吉を心配する気持ち……。
おれって人間なんだなと改めて感じた。
ゼロも顔を出して倉吉がどこかに倒れていないか目で探している。
見ていて少しだけほっとさせられる瞬間。
そんな二人を冷めた目で見ている存在……等身大のフィギュアの一体がゆっくり首を回転させていることなど、おれは気づきもしなかった。
目に貼ってあるシールを剥がし、生身の倉吉が背後から忍び寄ってきたことも……。
「危ない!」という声が聞こえたとき、おれはゼロに背中を押され、よろめく。
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