ゴスロリ彼女のキスの味



「田中君、早く逃げて!」

 ゼロはおれのほうを見ずに指示を飛ばす。


「そんなわけには……」


 キン、という鈍い金属音がおれの言葉を途中で打ち消した。


 倉吉が踏み込んで、日傘と果物ナイフの長さを埋めるために、一気に接近戦へ持ち込んだのだ。


 ゼロは両手で日傘を垂直に立て、倉吉は果物ナイフの刃を日傘に重ねながら空いている片方の手で日傘の先端を掴み、力比べの状態になる。


 おれはゼロを助けるために倉吉の背後に回り込むと、馬みたいな蹴りを後ろ向きで繰り出された。