逆手で握った果物ナイフを今度は下から上へ半円を描くように振り回す。 果物ナイフの先端がおれの左頬を掠った。 強烈な痛みこそなかったが、触れると手に血が付いた。 「その血で私のスカートに模様を付けて」 倉吉の声は媚びるような言い方だが、目の色は狂気に満ちていた。 おれは精神が凍るのを感じた。 倉吉の心には何を言っても響かず、オヤジくさい声だとコンプレックスをあからさまにされたおれの憎しみを凌ぐ。 モチベーションは圧倒的に不利。