おれが魚の眼を見ることができない理由は、ヒラメ顔のトモちゃんという女の子が原因。 トモちゃんと倉吉の顔が重なる。 「倉吉……おまえ、小学校のときのあだ名は?」 「周りからはトモちゃんって呼ばれてたわ」 倉吉は刃を握ったまま果物ナイフをおれの手から引っこ抜く。 「おれに言ったこと、覚えているか?」 おれは果物ナイフを手放す代価として質問した。 「ひょっとして私のことやっと思い出したの?もちろん覚えているわよ。小学校のとき田中君から声をかけられたのは、一度きりだから」