「く、倉吉……は、放せよ」 「嫌よ、絶対に放さない」 おれが動揺しながら言葉を伝えたのに対し、倉吉は涼しい顔で拒絶する。 それどころか雑巾を絞るように力を込めてギュ~と刃を握る。 「そんなことしたら、手に深い傷が……」 おれは自然と力を弱めてしまう。 「深い傷はとっくに私の心に刻まれているのよ」 倉吉が目を細めて意味深な言葉をおれに投げ付ける。 「どういう意味だ?」