ゴスロリ彼女のキスの味



 倉吉はうんざりした顔で説明を始めた。

「これだから素人は嫌なのよ。皆勘違いしているようだけど、ゴスロリをゴシック&ロリータというように単純に略称したものだと思われるのは本当に困るの。ゴスロリの基本定義はロリータが主体で、あとからゴシックの十字架や中世フランスの退廃的な要素が付加されたものなのよ」


 倉吉が“思い切って告白するけど、私、お嬢様なのよ”と言ったことは丸っきり嘘じゃなかった……ということになるのだろうか。


「違う。ゴシック主体でそこにロリータの要素が付いてきたの」


「何言ってんの?相反するものが一緒にされて迷惑してるのはこっちよ!」

 ゼロの反論は火に油を注いだだけで、倉吉は果物ナイフを振り回しながら地団駄を踏む。