「私ね、蜜姫さんに復讐したかったの」

 コイツ何を言い出すんだ?と思いながらも、倉吉がおれにキスをする目的のひとつに復讐の2文字を掲げたことを思い出す。


「おまえの復讐の理由を聞く暇はいまのおれにはないんだ」

 おれは紙切れをポケットに仕舞い、立ち上がって冷たい視線を送る。


「私より、殺人鬼の蜜姫さんの方が大事なのね」


「ああ、そうだよ」と答え、日傘を紙袋に慎重に入れた。

 乱暴に扱うと日傘の先端が紙袋を突き破るのではと思うくらい重い。


 ゼロがゴスロリ女だという疑念はいままで全くなかったといえば嘘になる。