「なにか、用?」 “やったね!”という心の雄叫びを押し殺し、余裕を見せて尋ねる。 「田中君……で、よかったんだよね?」 「そうだけど」 名前を確認されただけなのに次の展開の想像ができなくて、あれこれと邪念が脳内を支配する。 「田中君はお友達いないの?」 現在進行形で悩んでいることを見抜かれ、ズバッと背中を切られた感じがした。 「ここの街に住んでないからね。地元には友達いるけど」 いまの一人ぼっちの現状を言い訳するみたいで、みっともない感じがした。