おれの席が窓際になったことを神に感謝しながらも、午後の休み時間まで誰一人として声をかけてこない現実は、いつまでこの状態が続くのかと弱気という虫が顔を覗かせる。
友達として相応しいのかクラスメイトの連中に距離を置かれ、吟味されているのはおれのほうなのかもしれない。
おれはよく“大人っぽい”と言われる。
顔はとりわけ特徴がなく普通なのだが、声はハスキー。中学時代は小難しい厚い本を図書室で好んで読んでいたからなのか、周りが“大人っぽい”と評価するようになってしまった。
「ちょっと……」
奥ゆかしい声のあと、おれの肩がトントンと指で突かれた。
振り向くと蜜姫零が立っていた。



