「私のことが少しでも好きなら……追いかけてこないで……」 捨て台詞にしてはあまりにも意味深な言葉を残して、ゼロは去って行った。 「離せよ」 おれは倉吉の腕を乱暴に振り解く。 夢の中で溺れるゼロを見捨てたときと同じ感覚が蘇る。 建物を出てゼロの後を追う。 外はすでに陽が落ちていた。 ゼロの背中は小さく、細く、走り方も女の子らしく頼りなげで、人を殺した罪を背負ってるとは思えない。 通りを歩いていた人たちの奇異な視線なんか目もくれず、追いかける。