椎名 純一
『悪いな、待たせてた。


外で暇そうにしていた如月はこちらに気がついて近づいた。

如月 卯月
『じゃあ行きましょうか。



俺達の今日の目的は1つ、『六十院家』に接触

六十院家は華魅村でもっとも権力を持つ家柄

村長『六十院 繁孝』にはいろいろと聞きたいことがある。なにせ昨日の資料に書いてあったのだ。




頭首;六十院 繁孝



……と。だから俺達はこの村に巨大な屋敷を構えている六十院家に向かっている。




そんな俺達の向かい側からマスクを付けた婦人が歩いて来た。

婦人はこちらに顔を向けると気まずそうに顔を下げた。

椎名 純一
『……?

如月 卯月
『あーおはようございます!!


婦人
『……!!、…………………。


軽く頭を下げて挨拶をしたが婦人は無視して逃げるようにその場を離れてしまった。


如月 卯月
『……本当に外部の私たちって嫌われてるのかなぁ…なんか複雑な気分。


椎名 純一
『もしかして俺達、外部の人間と接することで「掟破り」になるんじゃないか?


この村には「掟」があり、村人は違反することにより「処刑」される。

…つまり殺される


当たり前だが、村人だって死にたくは無い。自らの意思で外部の人間を拒むわけでは無い。

だが、そうしなければ自分の死ぬ。残酷な話だ、優しい人間には苦渋の選択だろう。