既に時間は2時を指していた、村も完全な暗闇に包まれている。
そんな夜更けの中を蝶が飛ぶ、目指す場所は村の高い位置にある大きな屋敷。
蝶の習性は明るい場所に集まる。目指す場所は深夜なのに明るかった。
蝶はヒラヒラと飛び、屋敷の光る部屋に入り込んだ。
屋敷の和室。巨大な机を囲む十数人の老人と男、そして少女がいた。
老人A「封花隊の連中から聞きましたが…誰かが村に外部の人間を入れたそうじゃないか…。
老人B「おい…そりゃ掟違反じゃないか!!誰じゃ誰じゃ!!お前…知っとるだろ!?
老人は前に座る男を指差した。
老人C『ふ…藤原 学じゃ…。
怒号が続いた場が静かになった。全員が上座に座る男を見た。
男は目を閉じていたが、ゆっくりと立ち上がった。
男
『その話は本人から聞いた、藤原の本来の職務の関係から外部の人間が来るのは断れなかった…下手に断れば逆に怪しいからな。
老人D
『な…なるほど、確かに藤原は村を裏切る人間ではないからのう。
老人B
『…そうだ、そうですね。私達はとんでもない間違いを。
男
『ああ、構わない。
男は再び、座って目を閉じた。
コンコン…
近くの障子から音が鳴った。
男
『…入れ。

